片耳のウサギ

小さい時、木で出来たウサギの置物をもらった。わたしと妹はぬいぐるみで遊ぶのが好きな子供であったから、そのウサギの置物も一緒に仲間に入れてよく遊んでいたんだけど、わたしはある時そのウサギの耳を壊してしまった。耳は根元からきれいに外れてしまっていたので、あとで接着剤でくっつけて直そうと思ったままなくしてしまった。ぬいぐるみ遊びには役が必要。熊のぬいぐるみは女の子、子猫のぬいぐるみは赤ちゃん、というように全部に役がある。その片耳なくしたウサギの役はいつの間にか自然に「神様」になっていた。いちばん立派で幸せな役にしたつもりだったのだ。神様のことを考えると、とても心が痛む。とても悲しい。