湿った布団

雨降りの夜。雨が降り出す少し前まで私は港近くの公園で遊んでいた。対岸にはサンパレスの影が見える。天神方面の空は夕方みたいに赤く、まるで爆撃を受けているようである。雨雲が厚すぎて飛行機が降りてきても何も見えず、ただ轟音が雲の中から聞こえてくるだけである。私は波も匂いもない海を横目に見ながら、ローラースケートに興じた。部屋に帰って、湿った匂いのするベッドに潜り込む。今朝うとうとしていたらどこからか聞いたことのない音楽が聞こえてきて、そのメロディが何故か懐かしくて胸が苦しくなったことを思い出していた。