死人のお風呂

日曜日は風呂に入りたがらない薄汚れた私を洗うため、温泉を求めて旅立った。田舎で苺を買い、ぱくぱく食べ、とりあえず湯布院に行った。金鱗湖の周りをうろちょろして「くさいねー」と言い、巨大な鳥を遠くから眺めて、その近くにある喫茶店で茶をしばいた。私達のハードドライビンは体力と時間とお金の許す限り遊び回るのが暗黙の了解になっているので、ゆっくり何かを飲むのは比較的珍しいことかもしれない。ゆとりのない現代社会が生んだ何かの被害者こと私です。

真ん中の白いやつは、チーズとヨーグルトとレーズンが合わさった謎のおいしいお菓子です。その後、湯布院から別府へ移動。山道で鹿を見たよ。茶色かった。
別府に来たものの何をするか考えてなくて、とりあえず墓地にある温泉がどうなったか気になったので見に行ったら、前回見たときは台風で崩壊していた着替え小屋が直っていた。最初は足をお湯に浸したりしていたけど、最終的には誰もいないのをいいことに調子に乗って風呂にも入った。この温泉は山に囲まれているだけで(というか山にさえあんまり囲まれてない)特に目隠しもないザ・丸見え風呂で、なんか山のほうから人の声が聞こえたりしたけど聞こえなかったふりをして風呂に入った。人はこうしておばちゃんになってゆく。




(私のアホ面ピースはあ〜る君への愛の証です)
開放的すぎるお風呂!死人さえも恥ずかしくて入るのを躊躇うという。飛行機雲が夕日に照らされて光ってた。白い三日月が小さかった。銀のネックレスをしたまま入ってしまったら、あっという間に変色した。
その後、ぽかぽかのままなんとなく海のほうへ行き、ふらふら歩き回り、噴水は世界中の地下で繋がっているという話を思い出した。誰もが噴水に集まるんだ。噴水の引力から離れて、あたたかい夜の街を歩き、今度は普通の温泉に入った。人のいない温泉も好きだけど、老婆がいる温泉も好きよ。醜いものを見ると自分も許される気になる。お湯につかり、眼鏡をかけ、たくさんの老いた女体を凝視していると、世界を愛せるような気持ちになってくる。汚いからこそ私も生きていけるのだ。腐った肉になっても私は構わない。
帰り道に梅の花を見に太宰府へ立ち寄った。真っ暗闇の中で白い梅を見た。とても良い匂い。とても良いし、甘いし、爛れてる。

おみやげにかっこいいノートを購入。