僕らは古い墓をあばく夜の間に

トマトの種をまいて育ててたら、小さい芽がたくさん生えた。ベランダをトマトに浸食されるのも困るけど、捨てるのも嫌だったので、山に植えに行った。山は霧が出ていて、車の外に出ると髪も皮膚も湿った。日当たりの良さそうなところを選んで、雑草をむしり、木の根をスコップで切り裂いた。夜中に墓をあばいて骨を盗む結核患者のように、静かに黙ったまま土を掘り起こした。爪に土が入って、顔の周りを小さな虫が飛び回って、ふと顔を上げるとやっぱり緑色の木々には白い靄がかかって、ちっとも前が見えないのだった。針金と針金の間には無数の蜘蛛の巣。水分を含んだ黒い睫毛と泥のついた冷酷な横顔。
上手に隠した後は、水道で手やスコップをきれいに洗い、毛布に包まって帰った。もし山奥で小さなトマトを見つけても、決して食べないように。食べたら呪われます。