月曜日が憂鬱なわけではない

そろそろ深夜の3時になります。私はさっき食べたチョコレートの包み紙をきれいに折ってはぐちゃぐちゃに丸めて、またきれいに開いて折って、という行為を繰り返していました。小指の先からどんどん冷えて蜘蛛がそろそろ降りてくる時間です。

土曜日の夜はiPodにヘッドフォンを差し込み、薄く目を開いて充電が切れるまで音楽を聴いていた。私は日頃どちらかというと肉体を疲労させる仕事をしているので、バランスをとるために時々神経も疲労させないといけないのである。恋人はゲームをしていて、棍棒で蜂を叩き殺したり歯がギッチリ生えた岩のような怪人に殴り殺されたりしている。曲が終わる瞬間にだけテレビの音が聞こえてきて「耳の穴の奥深くまで差し込んでそして耳を完全に覆ってしまって音を密閉させてしまうヘッドフォンがあったらいいなー老人の補聴器みたいなやつ」と思う。同じ部屋にいるにも関わらず違う世界にいると全然知らない人の横顔のように思えてしまい、そういう時は思わず「誰だ?」と言ってしまうけど、私はあまり気にしていない。そういう時だってあるものね。聴覚を思うさま疲労させると心地よくなり途端に眠くなる。冷たくて湿った毛布は居心地が悪くて、いつも布団に入った直後は機嫌が悪い。でもすぐに眠ってしまう。そして必ず悪夢を見る。目が覚めるといつも夜が明ける直前で、そういう時、私はぎゅっと力を込めてお腹の上に手を置いていてどうやらそのせいで悪夢を見ているらしい。朦朧としているといつも音楽が聞こえてくる。低いベース音。それは同じアパートの住人がかけている音楽らしいのだが、毎回決まってドリカムの「決戦は金曜日」なのである。私は最早ベースラインだけでその曲だと気付いて、隣で眠る恋人を叩き起こし「ホラ!またドリカム!今週もドリカム!」と言うのだが「そうかな。そうかも」とすぐ眠ってしまう。執拗なまでにドリカムが聞こえてくる悪夢の続きのような夜明け前には、悪い妄想で頭の中がいっぱいになる。

日曜日は山の中にある千以上の滝の数を数え続ける男の話をテレビで見ているうちに眠ってしまい、目が覚めるとテレビ画面では脂ぎった派手な衣装の男が熱唱していた。寝過ぎて頭が痛いまま「クリエーターってそんなに偉いの」とググってみたり「お母さんが魔法で大きくなった!って一度言ってみたい台詞だよねー」という会話をしたりデスノートのネタバレをされて怖い顔をしたりする。その後本屋に行き、一週間分立ち読みをして、ビデオを借りて帰る。チャイ味のアイスクリームと熱いお茶を交互に口に運びながらグロテスクな映画を見て、お風呂に入って、歯磨きして帰宅する。

そろそろ深夜4時。