電波塔のふもとでパンツを拾う

本当は一番好きなのは、頭の先からつま先まで可愛い格好をして、荷物なんかはハンカチとリップクリームとカメラだけで、身軽になったら私の猫背も少しだけしゃんとして、爪は短くてピカピカに塗ってて、大島弓子が描く女の子みたいなふわふわの髪の毛で、すごく高いとこかすごく暗いとこかすごく寒いとこかすごく暖かいとこかすごく怖いとこかすごく静かなとこかすごくきれいなとこかすごく音の大きなとこか、要は頭がおかしくなりそうなくらいに素敵なところへ行き、私などは原子レベルに木っ端微塵に解体されてしまいそうな音楽を、ささやくようなボリュームか全てを破壊するくらいのボリュームで聞いて、私は怯えたりスキップしたりちっさい可愛いの(文鳥)みたいに小声でポエムを読んだりガム噛んでいろんな色の変なオブジェ作って岩の上に並べたりすることなのよ。少なくとも、金曜の夜から食をおろそかにしてしまって部屋の隅っこで寒くてひもじくてガタガタ震えたりしたくないの。土曜日なのに。

しかし、本当に一番好きなことを考えると、私は意外と一人でも生きていけそうな気がする。クレヨンでいろんな色を塗り、その上から真っ黒のクレヨンを塗り、爪楊枝で絵を描くやつもやりたい。でも、これも一人で出来そう。他に今やりたいことは、ふわふわの生クリームたっぷりのケーキを壁にぶつけるのと、クラリネットをでたらめに吹き鳴らすのと、デコトラばりにデコレーションしたホッピングアスファルトを穿り返しながら近所を一周し餓鬼共の度肝を抜くのと、超音速のローラースケートと、食玩のアイスクリームとか不思議な色のユニコーンとか可愛いのをいっぱい入れたスノードーム作るのと、プールサイドから走ってきて一回転して飛び込むのと(水着は水玉模様が可愛い)、ハルカリのハルカとユカリの両方を一人で完璧に演じきるのと、ああいとしいあの人お昼ごはん何食べたんだろうっていう台詞はいつでも寸分たがわず呼吸合わせて朗読することが出来るので毎回皆に気味悪がられます。そしてこれらを全てちょう可愛い状態の私が行うことが出来たら成仏できると思います(ヒゲが生えた状態は×)。意外と私は自立した大人の女性です。

ところで先週は電波塔を探しに山へ行ったのですが、どういう電波塔かというと電波時計の電波塔で、皆さん電波時計の電波がどこから発信されているかご存知でしょうか。電波時計の電波を発信する塔は日本には2箇所しかなく、以前は福島県に1個しかなくて九州では電波時計を使用できなかったんですって。九州の人は蒙古軍と戦うので精一杯で、防塁作るので精一杯で、電波時計なんて高度な文明品は誰も使ってないって、九州の人たちは今でも日時計水時計太宰府駅前にあるやつ)で時間を調べてるって、東京の時計会社の人たちは信じていたらしいのです(絶叫)!東京の人は!このIT時代に!(IT関係ないけど)とにかく、2001年まで九州の人は電波タワーがなかったために電波時計が使えなかった。でも今は佐賀と福岡の県境に電波塔が建てられてて時計も使えるようになっているので、嬉しがってその塔を探しに行こうとしたら迷って、何故か廃スキー場と鍾乳洞を見つけました。それはそれですごかったです。廃墟になったスキー場ですよ?鍾乳洞なんて森の中にあってもう日が暮れてたから怖すぎて近寄れないし、蝙蝠が鍾乳洞の天井にびっしり止まって冬眠してるらしいし、そういえばイノシシも2頭見かけたし、まだ小さくてワー、タタタッ、て感じで可愛かったし、しかもその現場近くで地元の中高生と思われるカップルが愛を語り合ってたし(原付二人乗りで来たっぽい)(こんな夜の冬山で人を見かけちゃったら車に乗せてはいけない系のものと間違うじゃない!)いいものを見た。でも多分電波塔に行ったら、私があばずれ達を抜きん出て(さも、私は違うわよ?みたいな顔をして)成績優秀者になりその際に記念品としてもらった電波時計の電波レーダーが、もう泡をふかん勢いでピコーンピコーンして、もっと反応が強いとこに行ったらオレンジ色の玉が落ちてて、それを7個集めたら苺が山ほど食べれるらしいのです。それかパンツがもらえるらしいのです。日頃ユニクロのパンツを愛用している私としては見逃せない情報でした。平日はユニクロと無印で、休日はツモリとかラスパイユとか可愛いの。緑色のツバメがたくさん飛んでたりする可愛いの。つまり、私は、パンツをもらいに?電波塔を?探しに・・・?