私は山であり、同時に登山者でもある。

土曜日の昼間はずっとうたたねをしていた。こたつと小屋の間を行ったり来たりするウサギはなんだかとても楽しいらしく、こたつ布団の中に頭を突っ込み俺はパイオニアーだと言わんばかりに未知の領域を開拓しては得意げに鼻をひくつかせ、私が寝返りをうつとすごいスピードで逃げ去り、また近寄って私の上に登って探検しては逃げ去り、私はとても眠く、薄く目を開けてウサギを眺めていたら、毛だらけの足で顔を踏まれたし齧られた。汚くて奇妙な街を歩く猫の本を片手に、ウサギに齧られながら眠る私。

夕方は、日頃女の子心を忘れてつい髭が生えがちな女子5人で秘密の集会。酒池肉林の宴の前に立ち寄ったお店では、ピンクの薔薇模様のお布団みたいなふかふか生地のスカートと、アイスクリームやハンバーガーの小さなプリントが入ったグレーのシャツと、ミツバチ模様のワッフル生地のソックスを購入。ちょうラブリー。お嬢さんどこ行くのってくらいラブリー。しかもお友達とお揃いでお洋服買っちゃったりするところがこの上なくラブリー!合コンらしい集団の横でなんら躊躇することなく、恋と仕事と夢の話をする女子5人に勝てるような人間は、きっとあの瞬間、世界中探してもそうはいなかったであろう。しゃべってはワイン、しゃべってはワイン、で非常に愉快な時間を過ごす。しかし女子5人集まってるのに誰一人として食後のスウィーツに関する話題が出なかったのはペケでしたね!最後は漬物食べてたしね!今度は甘いものも食べましょうね!終電を逃したのでお迎えが来るまでマリちゃんとお茶をして、なんか甘い飲み物を飲んで、酔っ払って真っ暗な細い道をふらふらと歩いて、とても楽しかった。

深夜1時過ぎに帰宅。昼間寝すぎたせいもあり夜ずっと眠れず。アルコールが抜けきれぬまま、真っ暗な部屋でテレビをつけ、細胞が分裂する場面や高山植物が風で震えたりしている場面を眺めて過ごす。テレビ画面の灯りに青白く照らされるウサギと私であった。日曜日は海辺にある廃墟を見に行く予定だったので、瓦礫の山と不思議な植物と静かな海を想像して、ときめいてなかなか眠れなかったのだ。表が少し明るくなりだした頃、ようやく就寝。