私のカメラはいくつか良い場所を知っている。

すごく魅惑的な島を見つけて、これは私の島だ…!と独裁者みたいな気持ちになっていたけど、さらに調べてみるとフーンってことが分かってちょっとガッカリした。でもそれがどの島なのかは私が行くまでは皆には教えない。きっと風がものすごく強く、荒れ果てて恐ろしい場所。枯れ草の中を歩くと遠くに崩れかけた赤いレンガの教会が見える場所。

私の好きな場所を幾つかあげると、
伐株山:山頂が平らになっている山。晴れた昼間はパラグライダーをする人が見える。真夜中に行くと、真っ暗で遠くまで平らで静かでとても怖い。歩いてると突然足元に夜景が見えてきて、ビルの屋上から滑り落ちるような悪夢に似ている。山頂にはハイジ式の長いブランコが設置されており、暗闇の中で乗ると本当に恐怖で気が狂いそうになる。
英彦山神宮:神社にたどり着くまでの長い階段が好き。人がいないシーズンに行くと、誰もいない昔の村に迷い込んだみたいな気分になる。時々時計の音だけが聞こえる。夕暮れ時は物悲しい。本当は修験者達が来るところで、見所もたくさんあるはずだけど一番大きな神社のところでいつもあきらめる。夜道で鹿に会う。
竈門神社:石で出来たソファがあるのでICOごっこができる(いつもやる)。鹿が飼われてて「バンビたちのハウス」って書いてある。くさい。木がでかい。社務所の中で宮司さんとかがテレビ見てるのをこっそり覗き込むのが好き。
福岡市役所の広場:夜に行ってベンチに座って上を見るとすごい。大きな建物の間にいるのがすごく面白い。全速力で走ると飛んでいきそうで怖い。
そのほかは、天ヶ瀬のあたりの川(列車が走っているのが見える)、豊後森の機関車庫、別府霊園の中の温泉、牛頸ダム伊万里の造船所跡地、女子畑発電所、夜明ダム、竜門の滝など。でも本当は名前も知らない街が好き。真っ暗な森が好き。見たことあるような道が好き。本当は一番は、好きとかきらいとかじゃなく、去年の5月に見た真夜中の日本海