三日月と金星

「カストラチュラ」から転調しながら、主題に更に深みを加えた一冊。宙吊りにされた真空の卵、靴を履いて地に降りるということ、靴の裏にある世界、夜空を見上げるという行為。全てが細やかな刺繍のよう。しかもロンドンのシューメイカーは今までに出てきたことのなかったようなチャーミングなキャラで、ミーハーな私はシューメイカーと解剖学の天使のやりとりにニヤニヤして、画面に現れる美しい靴にただうっとりするばかりであった。雪原に逃げたボルゾイや、蓮の花弁の型紙、いちいち挙げていったらきりがないけど、どれもこれも白昼夢の手がかりになるものばかり。私にとっての夢の手引書がまた一冊増えました。

シューメイカー

シューメイカー

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