ゼリーの中身

夜、ボーナスもらった人におごってもらっておいしいものをたくさん食べた。納豆、牛乳、グリーンカレーのルー、ココナツミルク、電球を買って帰った。実家を出てから最も食べた回数の多い食べ物はお米と納豆です。
パンツに刺繍をしたくて安いパンツを買おうと思ったけど、ドンキで安パンツを見てるとびっくりするほど心が荒んだのでやめた。でもサテンっぽい生地の毒々しいショッキングピンクのトランクスっぽいやつはちょっとほしい。上は白いTシャツでも可愛いと思うけど、一刻館の朱美さんみたいな格好もしたい。
帰宅してウサギを眺めていたら、妹がウサギを触りたがったのでショック療法だと言わんばかりにむんずと掴んで外に出した。このウサギは昨日今日とドアを開けっ放しにしていても出て来てくれなかったのだ(よっぽど嫌われとるんやろか)。怯えるウサギを妹が抱きかかえ、目を手の平で覆ってやるとなんか半目になってリラックスしていた。ウサギは恐いものが見えないようにしてやるとリラックスするらしいので、大自然の中ではいったいどうやって生きていっているのか心配です。ショック療法が効いたらしく、その後は部屋中を行ったり来たり、私達の周りをぴょんこぴょんこ飛び回り、それはいいんだけど私の部屋の中は縄張りと思われたらしくあちこちに糞を落とすようになったので、ウサギの後をついて回る羽目になりました。そのうちあまりの反復運動ぶりにばかばかしくなったので、部屋に古いバスタオルを2枚敷いてやって「思う存分おやりなさい」という気持ちになった。私達の部屋はフローリングなので足の裏にも毛がさくさくと生えたウサギは移動しにくそうだったので(つるつる滑るらしい)タオルを敷いてあげたのは正解かもしれません。
Boards Of Canadaを聞いてたらすごくICOがやりたくなったので、部屋の電気を消してPS2の電源を入れた。高いところから落下して死んだりしながらゲームは進んで、私が死にかけてる横でやせっぽちの女の子は鳩を追い掛けたり肘の痒いところを掻いたりしていた。妹はリビングのテレビの前に敷いた布団で寝転がってゲーム画面を見ているうちにうたたねをしてしまい、私はその布団の隅に座ってコントローラーを握っていて、ウサギは黄ばんだ手足で妹の布団を踏んづけたりして、それはとても良い光景だった。私は夜道を歩くとき、知らない人の部屋の明かりが灯っているのを見るのが好きで、誰か他人の部屋に泊まりたいなぁと思ったりするんだけど、その中でも一番好きなのは部屋の電気を消してテレビの青い明かりだけがちらちらしている部屋です。きっと静かでひんやりした部屋であろう。そして、今夜の私達の部屋もそういうひんやりした美しい空気の部屋で、もし私が夜道を歩いてふと見上げてこの部屋を見つけたなら、きっと心から羨ましいと思うに違いない。そのくらい、か細くて不規則な青白い光。透き通ったゼリーのような部屋であった。(明日はウサギの手足を洗ってやろう)