叔父貴の眼鏡

昨日、目が覚める直前に「人類が平和に生き残る方法」を思い付いたので、ハッとあわてて飛び起きたら猛烈にお腹が痛かった。つまり、私は目が覚めた途端に世界を救う方法と腹痛を両手に抱えていたのである。それでパニックになって、とりあえず恋人に知らせようと思いお腹を押さえながらメールを送ろうとしたら、携帯の調子がおかしくて送信できない。ボタン操作が出来なくなっていた。世界を救う方法、腹痛、携帯の故障…。これらのキーワードで私の頭の中に浮かんだのは「もしかしたら戦争が起きたのかも(私がすごいことを思い付いたせいで)」ということだった。転がるようにしてテレビの電源を入れたけど、戦争のニュースはやっていなかった。窓の外も見たけど、普段通りだった。あれー?と思っているうちに携帯が動くようになったので「世界を救う方法が分かったのにお腹がとても痛い」というメールを送った。すると「世界を救う手段を自分だけが知っているというのは立派な死亡フラグ。早く逃げて!」という返事が返ってきたので、アワワと震えた。しばらくするとテレビでは鳥インフルエンザの話になり、前日に鶏を大量に煮込んだことを思い出し、これはまさか…と恐怖にうち震えた(戦争もう関係ない)。人類を救う方法、私だけが知ってる、戦争、たくさんの鶏肉、世界中に広がる伝染病、腹痛、そして死亡フラグ。一人の人間が抱え込むには大きすぎる問題であった。薄れゆく意識の中で「地球はみんなのもの、みんなは地球のもの。答えは蟻だけが知っている」と思った。目が覚めたらお腹が空いていたので、鶏肉とバナナを食べた。世界を救う方法は忘れていた。