お葬式

夕暮れ時の田舎道でお通夜をしている家を見た。少し離れたところに古い家屋が何軒かあるが道路は誰も歩いておらず、人が全然いない村だった。雑草や土埃に覆われて窒息しそうな家の裏には、とてもきれいな川が流れている。埃で汚れたガラス窓の奥に祭壇が見える。誰かがひとり祭壇の前に正座している。しばらくすると玄関から割烹着を着た女性が出て来て、慌ただしく隣家に向かって歩いていった。辺りは再び静かになる。誰が亡くなったのか分からないけど、バスも来ないこの村で明日誰かのお葬式がある。日が昇り日が沈むだけの村で誰かが死んで、次の日もその次の日もまた日が昇って沈む。「小さな頃は、まるで鮭の卵みたいにたくさんの子供が生まれて、大人になれるのは一握りだけの数少ない人間だけだと信じていた」という女の子はきっと本当のことが分かっていた。死は遠くにあるものじゃなくて、どこに住んでいても私の背中の窪みに潜んでいる。死んでしまった見知らぬ小さな友達のことを忘れて、私はパンを齧る。明日ある誰かのお葬式はいつか来る私のお葬式である。