老人とカラス

帰り際、墓地にある温泉を見に行く。灰色の墓の横を通り過ぎると、足元にはお湯が流れる小さな川があり、水底は硫黄のせいで水色になっている。小川にかけてある板を爪先立ちで渡り、赤土の上を転ばないよう注意深く歩いて行くと、そこに温泉が沸いているのだ。丘と丘の間、枯れ草の中の小さな温泉。小さな洗面器とタオルが岩の上に置いてあり、一人の老人がお湯につかっていた。

この奥に温泉がある。