残された椅子に座る

土曜日、廃墟になった遊園地と廃墟一歩手前の遊園地をつなぐリフトを見に行きました。リフト乗り場にある小屋のカレンダーは98年で止まっていて、真っ白いリフトや柵は錆び付いて強風に揺られていた。山の向こうに続く真っ直ぐな線の下には取り残された白い椅子達が、枯れた草の中に埋もれていた。冬の日差しは眩しいので私は憂鬱で、目をしょぼしょぼさせて小屋の外に出来た氷を棒でつついたり、埃のたまった神棚を覗き込んだりしていた。真っ白い椅子と椅子を飛んで渡る、枯れた草原の上をずっと遠くまで身軽に飛んで行ける様なお洋服を私は着ておらず、からからに乾いて鋭くなった草に黄色いプラスチックの指輪がひっかかり、私はますます気分がふさいでしまったのでした。