全部流す雨

せっかく長靴を買ったのに全然雨が降らない。もし天地創造の大雨が降ったとしても長靴があるから大丈夫ですよね?大洪水が来ても私だけは大丈夫ですよね?と店員さんに詰め寄ってまでして買った長靴なのに、まだ一度も外で履いてない。部屋で二、三歩うろうろしただけです。駅員さんを突き飛ばして「初潮があったのだ!」と怒鳴りそのままホームを越えて線路にダイブするときなんかは、薄汚れた月星の白いスニーカーだとか安っちいビーズがくっついたサンダルだとかがお似合いですが、私もいい加減ファンシーな世界で生温く生きていきたいのです。その象徴としての長靴。なのに雨は降らない。
今日はトイレに腰かけてやるパズルゲームという組み合わせほど堕落しきった快楽はない、ということをお友達に力説したのですがいまいちその素晴らしさを分かってもらえなかった。人間にはこんなにもたくさんの言葉が用意されているというのに、意思疎通はかくも難しい。それにげんしけんのことを悪く言ったら怒られた。言葉の可能性について考える。
一足早い夏休みを満喫していた妹が今日ようやく帰ってきて、もし夜中に恐ろしい話を思い出してももう大丈夫です。あと、今日はガガンボ殺そうとしたらフッと消えたので怖かったけど気がつかなかったふりをした。ああ、雨で全部流れていけばいいのに。