魔女になりたい

土曜日は母方のいとこの結婚式でした。お嫁に行ったいとこは顔の造りが古臭くて*1子供のときから天使みたいに可愛い人だったのだけど、土曜日は絵本に出てくるどこかの国のお姫様みたいであった。花嫁が美しければ美しいほど、結婚式というものは不幸と恐怖の予感に満ち溢れるものだなぁと思った。絵本のような恐ろしい予感。私は例によって酔っ払って、たくさんおしゃべりして、とても楽しかった。酔っ払ってグラスが割れて、私はふらふらと千鳥足で、いとこ全員が集合させられて、だから…どうして…いつもてんとう虫のサンバなんですか…(また歌った)。

人数多すぎ!花嫁の弟と妹がギターとベースを演奏。今後は各自得意な楽器でてんとう虫のサンバを練習しておかないといけないらしいです。
私の母は四人姉妹の三女で、この四人姉妹は昔は若草物語みたいだったというおとぎ話みたいなことをよく母から聞かせられていたんだけど、今は四人とも立派な魔女になっている。四人ともやたら背が高く、お酒が強く*2、目が恐ろしいのが共通点である。その魔女達には叔母さんがいるのだが、その人がまた大魔女みたいなひとで、今はもう80歳を越えた穏やかなおばあさんだが、何か不吉な予感のする人なのである。いきなり蛙の足をもいで、よく分からない薬を作り出してもおかしくないような雰囲気をかもし出している。皆には「おばちゃま」と呼ばれて親しまれているその大魔女は、数年前まで小さなブティックを経営しており、子供の頃の私はそのお店に遊びに行くのが恐ろしいような楽しみなような複雑な気持ちであった。結婚パーティーの会場で、私は大魔女に呼び止められた。彼女は私と妹の着ていたお洋服のことをとても褒めてくれ、私の歪んだ体に沿うようにして歪んでしまったリボンを結びなおしてくれた。私は有頂天になりつつも、なんとなく後ろめたさと底の知れない恐ろしさを感じたのであった。

*1:私もこの「顔の造りが古臭い」というところだけは大いに持ち合わせている。母方のいとこにはこの系統の顔の持ち主が多い。洗練されてない、昔の写真みたいな顔。

*2:中国旅行に行ったとき、この四人はびっくりするほど紹興酒を飲んでいて、火を吐かんばかりであった。