順子

順子(犬)が死んだ。今日の昼間様子を見に実家に帰ってどうも今夜死にそうだと思ったけど、私は自宅に帰ってしまったので結局死に目には会えなかった。母からさっき電話があったのだけど、昼間私が最後に見たときはもう動くこともなくて水を少し飲んで寝たままの状態だったのだが、ほとんどそのまま死んだそうなので安心した。獣医さんからは尿毒症や低血糖による痙攣が起こるかもと言われていたので心配していたのだ。死に目に会えなかったのはやっぱり多少ショックだけど、順子が体調を崩してからは毎日もう死ぬかもと思いながら看病してたのでとうとう、とか、ついに、という程度です。何しろここ数日は半分魂が抜けてるような状態だったのだ。悲しいけど、もうすでに悲しくてたくさん泣いたし、今も泣くけど後悔はあまりない。ゼロとはまだ言い切れないけど、そのうちゼロと言えるようになるでしょう。私は薄情で好奇心も少なくそのため人間にも動物にもあまり優しくないので、そのような私に今回いろいろとアドバイスや言葉や協力をしてくれた人達には本当に感謝している。もし誰も何も言ってくれなかったら、きっと私は最後まで何もしなかっただろうし、実家はあまり好きじゃないから出来るだけ近寄らなかっただろうし、そしたらとても後悔したかもしれない。よく分からないまま死んで、曖昧なままに忘却していくだけじゃやっぱり悲しすぎる。人間の死とは訳が違うのだ。犬はただの犬だから、放っておけば本当にただの犬だ。泊まり込んだり通ったりして、一月にわたって死んでいくところをちゃんと見ることができて良かった。今日、水を飲ませて、寝返りをうたせて、なでることができて良かった。今日だけが特別な日じゃないけど、今日までに「今日だけが特別な日じゃない」という気持ちになれたことは、本当に良かったと思う。明日順子を庭に埋める。私があの庭に動物を埋めるのも今回が最後でしょう(まだ猫がいるけど、あの猫達が死んでも好きとか嫌いとかではなくてでも私はきっと埋めには帰らない)。別れははっきりさせたほうがいいのか曖昧にしてしまったほうがいいのかなんてもう私には分からないけど、あゆはサヨナラなんて言わないーて歌っとったけど、私は明日きっとさよならと言ってしまうだろう。悪人演技をしながらごはんを食べさせてたけど、本当に私を悪人と思ったままじゃあるまいな…今日はもうぐったりしてたからさすがの悪人もションボリ顔だったけど…。