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ココアにココナツミルクを入れると此処という意志が多すぎる。しかし甘いものには、此処も意志も私も、二つのうち一つを選ばないといけない、なんてこともない。此処であろうと何処であろうと、私は孤独な星のたったひとりの生き残り。他の国なんてない星のお姫さま。終わりのない砂漠を歩き続ける駱駝です。真夜中にボロ布をまとってひとり舞踏会を開催しても楽しいし、腹が立ったらインドから連れてきた醜い小猿を蹴ったらよろしい。そして、夜には仲直りして林檎を半分こして薄汚れたベッドでぐっすり眠るのだ。孤独よりも恐ろしいのは、私が誰なのか分からなくなること。宇宙怪獣を退治して1万2千年後に地球に帰ってきても、私の名前を覚えておきたい。歪でみすぼらしくても、砂糖の砂漠を死ぬまで歩き続ければ、月明かりで輪郭が溶けて消えるなんてことはないよ。孤独に耐えて、駱駝になるのだ。