小さな骨

今の苦しみはハシカみたいなもので、過ぎてしまえば本当は大したことはない。あと少しで山頂だから頑張れ頑張れと言われても、実際に今お腹がちょう痛い訳で、その痛みで死ぬ人だっている。生き抜けば大人になれたかもしれないけど、生き抜く子供の数はきっと決まっている。人魚の卵のように。そういう女の子達のお話。二人が持った武器は撃ち抜ける実弾と、実体のない砂糖菓子の弾丸だったけど、どちらも弱すぎて役に立ちはしない。殺せない。この本がいったい誰のためのものか、と考えると、実際に今現在死にそうな子供のためかもしれないけど、本当は死んでしまった見知らぬ子供のためかもしれません。だって誰も知らない。砂糖菓子の弾丸と実弾を両方手に入れたら、小さな骨を踏み締めて歩くのだ。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

この本読んで驚いたのは、海野藻屑というふざけた名前の少女の微妙さ。オタク的な表現だとなめてかかるとすごく裏切られる!人魚の足には鍵がかかっていて、身体は廃水で汚染されている。気持ち悪くて可愛い、かわいそうな女の子。