美しい季節

悲しいくらいに貧しかったのでお友達と飲みに行けず、博多駅の雑踏の中で自分を見失った月曜日、18時。泣きながらパン屋さんへ行き、泣きながらパンを山盛り選んで、部屋でひとりパン祭りを開催。無言そして無音。パジャマに着替えてコップに冷たい牛乳を注ぎ、ベッドに持ち込んでサンドイッチ片手に漫画を読み、そのままうたたねした。夢は見ない。0時過ぎに同じくうたたねから目が覚めた妹とコンビニへ行き、ジュースを買う。夜の道路を歩く、作業着のままの妹とショートパンツの私であった。美しい季節なんて、ない。
最近は帰りにバスに乗らず30分くらい歩いてて、浮浪者がたくさん住まう公園や木の密生具合がジュラ紀っぽい公園(ジュラシックパーク命名。朝日の時間に通りかかると、本当に木の影から恐竜が出て来そうな感じ)の横を通り、乾いてかぴかぴになった吐瀉物やその他の有機的なゴミが散らかる埃っぽい道路をてくてく歩いている。道ばたには目の周りが真っ黒くて、ミニスカートと華奢なヒールの靴の、疲れた表情をした不良少女が座り込んでいたりする。線路の下の通路は真っ暗で、向こうから歩いてくる小さな人の影が踊る一寸法師のように見える。雑草の中に薔薇が一輪咲いている。戦場のような汚い街で私は毎日働いている。