プラスチックの地平線

先日、夜ごはんを食べて食器を片付けていたら、冷蔵庫の上を一匹の蟻が死んだ蟻を運んでいた。白くて平らな地面の上をお友達の死体を引きずって歩く蟻に思いを馳せ、ぼんやり眺めていたのだが、蟻は疲れたのか突如死骸を手放してしまったので、死骸は床にぽとりと落ちた。
それで、私は床の上に落ちた蟻の死骸をそっと指でつまんで、もう一度運んでいた蟻の前に持っていったのだが、まるで目の前にある死骸にはもう興味がなくなったらしく、死んでしまったお友達のことはまるで忘れてしまったみたいに、きょろきょろしながらどこかへ歩いていってしまったのだった。壊れた機械みたいに冷酷で不条理で滑稽でかわいそうで、私のほしいものが全部結晶のように固められた瞬間に、私は冷蔵庫の上に顎をのせた。乾涸びた蟻の死骸はまだ同じ場所にある。