おほペンギン、いへすずめ

街に出てコスメティックを見たり買ったりした。日光と人間のパワーでだんだん怠くなっていった。帰りに裏通りにある古道具屋さんに寄って、鳥の絵はがきを買った。私のは小鳥がたくさんいて「いへすずめ」と書いてあった。彼のは首が長い鳥や面白い鳥がたくさんいて「おほペンギン」と書いてあったから、帰り道ずっと「いへすずめ」「おほペンギン」と言い合っていた。全部で８枚くらいのセットだったらしく棚にピシッと並べてあったけど、２枚だけ私の家にやってきた。戦争になる前からずっと一緒だった鳥達を離ればなれにしてしまい、おほペンギンと機械的に呟いても拭い去れない寂しさがあった。せめて大切にしようと思い、そのはがきを白い額縁に入れて壁に貼ってみたらやたら楽しくなってきて、箱の中から好きな絵や写真や切手やシールをどんどん取り出し、額縁に入れてたくさん飾った。部屋の中にカラフルなものをまき散らし、切ったり貼ったり、リボンを巻いたり、ぐちゃぐちゃに散らかして、ふと顔をあげるともう夕方で、窓の外は薄暗くなっていて、私は昨日買ったパンみたいな様子で鳥の絵を眺めた。